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高校生の頃、僕は芸術にそれほど関心があったわけではない。
美術の時間のことであった。
油絵の授業であったので僕は自分なりに、芸術らしい作品を描こうとした。
やたらと暗い色調の絵を描き、クラスメートから、「なんか暗い絵だなあ」といわれたことをなぜか克明に記憶している。
絵というのはモチーフが重要であると思う。
そして、最も重要なのは絵を描くことによって、何を表現し、何を訴えるか?という思想の部分であろうと思う。
絵というのは、テキスト主体の思想書とか文学作品と違って、完全な絵、イメージそのものであるのだけれど、それにもかかわらず、その作品にはなんらかの思想や哲学といったものが内包されているというのは実に興味深いことだと思う。
その絵が描かれた頃の時代背景であるとか、作者の思想というのが明確に反映されているのが絵なのだ。
思想や哲学が反映されているからこそ、絵というのは見る人に訴えかけるものがある、だから面白いのだろう。
逆に、何も反映されていなく、メッセージが何も含まれていないというような作品というのはどこにも存在しないのではないか?
どんなに虚無で空虚そのものにみえるような、薄っぺらい作品であっても、そうであっても例えばその皮相さといったものに、何か政治的なメッセージを深読みするなんていう見方も出来るかもしれない。
芸術作品はどういう風にでも解釈が可能であるから、批評という分野が商売として成り立つということであろう。
世の中には他人の揚げ足をとったり、批評ばかりして自分は何も行動をしないという人が少なからずいる。
百害あって一利なしの連中かもしれないが、それでも、批評という分野があるぶんだけ、彼らの存在価値というものも一応認められているわけだ。
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